製造物責任法における、部品メーカーの責任
初めて質問させて頂きます。
今回、製造物責任法(PL法)に関する疑問があり、投稿させて頂きました。
製造物責任法には、
「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」
とあります。
よく例として見かけるのが、
「テレビが炎上し、人が怪我をしたり、家が火事になった場合、その保証をしなければならないが、テレビ自体の欠陥については製造物責任法は適用されない」
といったものです。
つまり、製品自体の欠陥で収まった場合は製造物責任法は適用されないと私は解釈いたしました。
ここで疑問に思ったのですが、例えば先ほどのテレビの場合、
「テレビに組み込まれた部品が原因でテレビが故障した。(周りに被害は無し)」
といった状況の場合はテレビ部品の欠陥によりテレビが故障した(人の財産に被害が生じた)として、部品メーカーに製造物責任法は適用されるのでしょうか。
法務担当をしておりますが、専門的な知識は持っておらず困っています。
何卒ご回答いただければ幸いです。
ID:5384 投稿日:2016/01/27 11:15:07 投稿:小企業法務担当
回答数 2件
製造物責任法についてですが、上のテレビの例でいうと、テレビの欠陥によって発火した場合、それによって人がケガをしたことや家が火事になったことについては同法によってメーカーが責任を負いますが、「テレビが壊れたことそれ自体」については同法の範囲外という理解になります。
なので、テレビの欠陥によりテレビが故障した点に関しては、同法の対象ではない、という回答になります(製造物責任法3条但書)。
もっとも、民法などによってメーカーが責任を負う可能性はあります。
<参考条文:製造物責任法3条>
製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
ID:A20160127154823 投稿日:2016/01/27 15:48:23
テレビの部品の欠陥により、テレビが損壊したけれども、その他の被害は生じなかった、という場合、部品メーカーにとっては、製造物責任法3条ただし書の「損害が当該製造物についてのみ生じたとき」にはあたらず、製造物責任法に基づく責任を負うことになるのか、という御質問ですね。
この点、「部品から見た場合、最終製品に損害が生じれば『損害が当該製造物についてのみ生じたとき』にあたらず、部品メーカーは製造物責任法に基づく責任を負う」とする見解と、「部品メーカーに最終製品のメーカーより重い責任を課すのは不合理だから、そのような場合も『損害が当該製造物についてのみ生じたとき』にあたる」とする見解と、両説あります。
参考文献:浦川道太郎「製造物自体の損害と拡大損害」塩崎勤他編『裁判実務大系30製造物責任関係訴訟法』196頁)
ID:A20160127165800 投稿日:2016/01/27 16:58:00