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企業法務

取引先から脅迫まがいのことをされています

運送業です。ある会社Mと業務委託の契約をし、当社のトラックと営業ナンバーを使って業務をしてもらい、売上の中の消費税を抜いた金額から10%だけ徴収、トラックのローン・保険を負担してもらっていました。ところが、昨日消費税分もよこせ、詐欺や!と因縁をつけてきてヤクザまがいの脅しとも取れるようなことを電話で言ってきました。俺がどういう人間かわかってるやろ。どうなるか覚えとけ。会社潰したる。などです。元請け会社にも同じように脅し、仕事ができひんようにしたる。などと言ってきたと聞いていたので、こちらはその会話を録音してあります。そして、取引を解消したいので、トラック、営業ナンバーの返還を求めた所、今までローンと保険代を支払ってきたのだから、それなりのものをよこせと、要は金銭の要求をしてきました。はっきりと金銭の要求をしてきたわけではないですが、そう取れる言い方をしてきました。消費税は当社のトラック、営業ナンバーを使っているので、確定申告で支払わないといけないものなので、M社に支払う必要はないと思いますし、約束の10%の金額しか当社は頂いていません。
出るところにでてもいいと言ってきたりしているのですが、このような場合、当社はその分の支払い、M社が言ってきている、それなりのものを渡さなければならないのでしょうか?

ID:2494 投稿日:2014/03/19 15:02:37 投稿:まりも

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[B-BNAME]弁護士

法律事務所
天空法律事務所
住所
大阪府大阪市北区西天満4-6-18 ACCESSビル6F
TEL
06-6361-3208

1 前提問題
 前提として、相談者(相談会社)とM会社との間でなされている業務委託契約は、貨物事業者運送事業法が禁止する名義貸し契約として、公序良俗違反として無効と判断される可能性があり、そのことを念頭においていただく必要があります。


2 M会社から相談者に対する金銭請求の法的実現可能性
消費税に限られず、M会社が、相談者に対して、何某の金銭を請求する主な法的根拠には、①契約に基づく請求、②不法行為に基づく請求、③不当利得(準用や類推適用含む)に基づく請求、の3つが考えられます。

①の点は、相談者とM会社との間でなされている業務委託契約は、貨物事業者運送事業法が禁止する名義貸し契約として、公序良俗違反として無効と判断される可能性があります。

公序良俗違反により無効と判断されると、契約の効力は発生しないため、M会社は、①契約に基づく請求をすることは出来ません。

②の点が認められるには、M会社に「権利又は法律上保護される利益」が必要になります。

上記①の通り、契約が無効と判断されると、そもそも、M会社には「権利又は法律上保護される利益」がないと考えられるので、M会社は、②不法行為に基づく請求をすることも出来ないと思われます。

③の点は、契約が無効と判断されるのであれば、相談者は、法律上の原因無く、M会社の労務によって利得を得ているわけですから、民法703条(不当利得)の成立要件だけを考慮すると、成立する余地はあると思われます。

もっとも、民法708条(不法原因給付)では、
「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することが出来ない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」
とも規定されています。

業務委託契約が公序良俗違反と判断されるのであれば、M会社は、「不法な原因のために給付をした者」と判断される可能性は高いと
思われます。
M会社は、労務提供の対価として、売上の90%を取得しているのですから、「不法な原因が受益者(この場合は相談者)についてのみ存した」ともいえないでしょう。

したがって、業務委託契約が公序良俗違反により無効と判断されるのであれば、M会社は、③不当利得に基づく請求も出来ないものと思われます。


当該法理論は、消費税等の金銭請求に限られる話ではありません。
すなわち、業務委託契約が公序良俗違反に該当する場合、M会社の相談者に対する金銭請求は、消費税分は勿論、「それなりのもの(=金銭)」や売上の90%に至るまで、法律上(訴訟上)、認められないものと考えられます。


3 相談者からM会社に対する車両・プレート返還請求の実現可能性

一方、業務委託契約が公序良俗違反に該当する場合、上記2の理屈がほぼそのまま相談者に妥当するおそれがあります。

すなわち、相談者が、M会社に対して、車両・プレートの返還請求訴訟を行ったとしても、M会社から、民法708条(不法原因給付)(準用、類推適用含む)の適用を主張され、これが認められて返還を受けることが出来なくなる可能性がある、ということです。

相談者が、M会社から10%の利益を得ているのであれば、「不法な原因が受益者(この場合はM会社)についてのみ存した」ともいえないでしょう。

民法708条本文の適用が認めれると、相談者の返還請求は棄却されることになります。


4 まとめ
 上記2,3の通り,業務委託契約そのものが公序良俗違反と判断されるおそれがあるため,相談者からの請求も,M会社からの請求も,法的には認められない可能性があります。

以 上











ID:A20140724231539 投稿日:2014/07/24 23:15:39

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