弁護士法人 川原総合法律事務所
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弁護士法人 川原総合法律事務所のコラム
労働者派遣法は、昭和60年に制定されて以降、時代の流れに沿って、度々、改正されてきました。
労働者派遣法第40条の2もそのひとつで、同条は、「派遣先は、同一の業務で派遣可能期間(最長3年)を超える期間、継続して派遣労働者を使用してはならない」と規定しており、これに関連して、派遣先が講ずべき措置に関する指針第14項は、「派遣期間終了後3か月を超えない場合には継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなす」と規定しています。
これによって、3年の派遣契約期間終了後、3か月間のクーリング期間をおくことで派遣労働者の使用をできないようにして派遣労働者による常用労働者の代替防止の確保を図っていました。
ところが、派遣先であったM社は、これらの規制をうまくかいくぐるように、派遣契約期間終了後、すぐに3か月間を超える期間(3年と1日)の直接雇用契約をし、その契約終了後、再度、派遣契約をして、実態として、派遣労働者の継続使用を3年超える期間行っていたのです。
これは、上記指針の3か月間というクーリング期間を利用した方法でした。
3か月間を超えたら、リセットして、再度、派遣契約を締結し、これによって、派遣労働者を、ずっと、安価な人件費で、雇用調整が安易な労働力として使用し続けていたのです。
派遣先であったM社は、元派遣労働者らによって労働契約上の地位の確認請求訴訟提起をされて、派遣労働者の保護を図る趣旨で元派遣労働者の派遣先であったM社での直接雇用を認めていく方向での判決がなされました。
この判決を契機に、派遣労働者の保護を図る以下のような労働者派遣法の改正が行われました。(①②は、すでに施行され、③は、平成27年10月1日に施行されます。)
①有期雇用の派遣労働者(雇用期間が通算1年以上)の希望に応じ、期間の定めのない雇用契約(無期雇用)に転換する機会の提供が派遣会社の努力義務となりました。
②離職後1年以内に、派遣労働者として元の勤務先に派遣されることはなくなりました。
③派遣先が違法派遣を知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなされます。
今回の法改正で、派遣労働者の地位の改善が少しはなされたかと思いますが、まだまだ不十分かもしれません。
会社に都合のいいように利用されがちな派遣労働者の地位の向上を図っていくためには、現場にいる派遣労働者の声が裁判所、国会に届けなければなりません。
上記判決、今回の法改正は、それを実感させられるものでした。
2014/10/02