共同経営(個人事業)を解消して片方が独立する際の資産の分配について
2人で始めた共同経営(個人事業)を解消し、片方が独立する際の資産の分配についての相談です。
人物AとBでどのように資産を分配するのが適切かを相談させていただきたいです。
AとBはお互い感情的になっているわけではなく、どのような分配が適切なのかが分からない状況です。
事務所へ伺っての相談も考えております。
この文章はAとB二人で作成しております。
どちらか一方の意見や心情に重点を置かず、あくまで第三者目線で状況を説明していきます。
よって、どちらかに偏ったご回答ではなく、より公平なご回答をお願いします。
まずは大枠を説明します。
幼馴染であるAとBは地元の地方都市(人口約20万人)で服屋(セレクトショップ)を経営しています。
昨年12月に半分ずつ出資し、開業しました。(A 182.5万円、B 182.5万円)
書類上はAが個人事業主、Bが従業員という形ですが、給料は完全に半分ずつで折半しております。
運営はAとBの2人のみで他にアルバイトなどはいません。
毎月の支出も半分ずつ、税金も2人で足したものを割って半分ずつ支払っています。
備品や商品の仕入れも相談してお互いが納得したものを購入し、半分ずつ支払っています。
労働時間も同じになるように調整しています。
意見の違いがある時には、必ず話し合いの場を設け、折衷案を出すなど、エゴを押し通すのではなく、店にとって何が一番良いかを常に最優先に考え、方針や物事を決めてきました。
最終的にはお互いが納得した形で後腐れなく事業を進めてきました。
口約束ですが店を始める前の計画の段階から、全て完全に半分にしようと取り決めていました。この点に関しては現在何の問題もありません。
営業状況は、毎月の売上の平均が約70万円、毎月の給料はAとBお互いに平均約16万円ずつ出せる状況です。
現在までは売上の中から、初期投資では足りなかった分の備品(月平均約18万円)を追加で購入してきており、今年9月末までで追加の備品をほぼ買い揃えています。
このため今後はその18万円を利益として受けとれるようになります。この18万円が直接給料に還元されるというわけではないですが、今までの給料月平均16万円よりは増える見込みです。
また、第3セクターの実施する助成事業に応募、通過し、今年3月に255万円を受け取っています。
この助成金は今年4月に仕入れの為に銀行から受けていた短期融資120万円の返済にあて、残り135万円を備品の購入や家賃の支払いなどの運転資金にあてました。
また、同じく仕入れの為に今年5月に銀行から200万円の融資を受け、現在返済中です。
5年間で返済の契約で残額は約180万円です。
こちらもAとB半額ずつ返済中ですが、契約上はA個人の名義になっています。
以上が大枠の説明です。
ここからは今回の相談のきっかけとなった出来事です。
Aは今年9月末に以下をBに提案しました。
「1〜2年後に共同経営を解消し、Aが独立して東京で新たに服屋を開業(のれん分けではなく、全く別物の店舗として)し、現在の店舗はBに引き継ぐこと」
理由は
①A自身の夢の実現のため
新たに東京で挑戦したい、という夢ができたのは、現在の店舗を運営している最中です。
②A自身の給料の増加の可能性が高いため
(結果的にこのまま二人で5年間経営するより、Bも今後給料が増えることが予想される)
主にこの2点です。
これに対しBは以下をAに提案しました。
「共同経営を維持し、隣の県に新たに2店舗目を構え、事業拡大を図ること」
しかしAは、隣の県では自身の夢が実現できないという理由でこの案を却下しています。
Aも隣の県での2店舗目の成功は十分見込めるとした上での却下であり、さきほどの理由②の給料の増加は実現できる可能性が高いと考えています。
よって経済的な理由での却下ではありません。
Bは
「新たにできた夢を実現するために共同経営を解消し、独立したい」
というAの突然の提案に戸惑っている状況です。
また、現在の店舗の資産の分配がどうなるのか分からないと、Aの提案に賛成も反対もできません。
以上が今回の相談のきっかけとなった出来事とその状況です。
AとBどちらも今まで相手に不満があったわけではありません。
共同経営を始める際に、こういったどちらかが独立する場合の取り決めは全く何もしていませんでした。
しかし、先述した助成事業の応募要項にあった「やむを得ない場合を除き5年間事業を継続する」という規約をお互いに読んでおり、その際に漠然と
「5年ぐらいは当然続けるよな。ましてや地元での開業だし、すぐやめたら地元で面子も立たないしな。」
と話したことをお互いはっきりと覚えています。
また、今年5月の5年契約で200万円の融資も先ほどの「5年ぐらいは当然続けるよな。」とお互い思っていたからこそ受けています。こちらの件はお互い言葉にしたわけではありません。
ここからはAが独立し、Bが現在の店舗を引き継ぐ場合に考えられることです。
まずは風評被害に関してです。
Aが独立し、東京に出店することによってBの新潟県の店舗と顧客の取り合いが生じ、Bの店舗の売上が減るような直接的な影響は商圏が全く違うので考えにくいです。
ただし、のれん分けでは無いとは言え、AとBの共通の知人などからBの商圏に対して
「Aが東京に出店した(AはBの店から独立した)」
という噂が広がる可能性があり、その時に仮に
“Aの店が売れ行きが悪く閉店した”
となった場合
「あの店、もう1店舗あったけどすぐ潰れたらしいよ。どうせこの店もすぐ潰れるだろう。」
といった風評被害が広がる可能性があります。
また、服屋という業種は他業種に比べ見栄えや評判、ブランド力などの点において顧客の厳しい目に晒される業種でもあります。
仮に
“Aの店舗の商品の質やブランド力が低い”
となった場合、Bの店舗に風評被害の影響が及ぶ可能性があります。
こうなった場合はAは東京なので人口も多く風評被害の影響は小さいと思いますが、Bは地方都市(人口約20万人)ということもあり、風評被害の影響が大きいかと思います。
また、AとBは幼馴染であり、地元での開業だったため、共通の知人やAとB二人ともを知っている顧客が多く、Bに風評被害の影響が及ぶ可能性は非常に高いと思われます。
しかし、逆にAの店舗が繁盛した場合に「東京でも繁盛してる店」という噂がBの商圏に広まり売上や来客が増加する可能性もあります。
次はBの給料に関してです。
開業から今年9月末までは準備や、軌道に乗せるための業務で忙しい状態でしたが、今後はある程度安定した営業が予想されます。
Bが現在と同じ労働時間で現在の営業形態を維持するためには、週4日アルバイトを雇用すれば可能であると考えています。(日給5千円)
そうなった場合、Bの給料は今までの月平均16万円を上回ります。
よって、Aが独立することによりBの経済状況が悪化する可能性は低いです。
以上、ここまでの流れを踏まえての資産の分配についてご回答いただきたいと思います。
現在の資産と考えられるものは以下①〜④です。
①物件所得費
保証金の無い物件でしたので、敷金1ヶ月分の7万5千円
②銀行からの融資の返済
残額約180万円
③商品在庫
原価で約360万円相当
④店舗の陳列棚や照明等の必要不可欠な備品約300万円相当
この備品のうち半分程度はあと5年近くは使用できるようなものです。
300万円のうち、約150万円分を開業時から2ヶ月以内に購入、残り150万円分は毎月約18万円ずつ購入してきました。
備品は300万円分、全てがある状態でないと商品を陳列できません。
(できないことはないですが、見栄えも効率も悪いので300万円分全てがないと今までと同じだけの売上が出せないことが予想されます。服屋ですので陳列方法や見栄えが他業種よりシビアに売上に反映されるかと思います。)
この①〜④をどう分配するのが適切なのかということと、
加えて、以下の(a)〜(d)についてもご回答いただきたいと思います。
(a)前述した風評被害についてはどのような取り決めが必要なのか。
(b)助成金は、事業主の名義をAからBに変更することで先方が納得する可能性が高いため、助成金を返還する義務が生じることはないとは思うが、もし仮に返還する義務が生じた場合、どのように対応すればよいか。
(c)Bがこのまま現在の物件で営業するのであれば問題ないが、物件を移る場合において、現在の物件に何らかのトラブルがあり、解約時にかかる費用が敷金で足りない場合の費用負担の割合はどうすればよいか。
例えば、
「天井が劣化して穴が空いていたことで、退去時に大家から修繕を求められた。」
などの場合です。
AとBが店舗を使用していた年数で割る等の取り決めが必要なのでしょうか。
(d)今後独立するまでの1〜2年間の利益の分配は具体的にどうすればよいか。
また、Aが独立することが決定した後に増えた資産などは、実際の独立時どう分配すればよいか。(今後増える資産とは、今までの営業形態を維持していく上で必要な在庫、備品、融資に限ります。)
以上の(a)〜(d)もご回答いただきたいです。
最後に二人の関係性についてです。
Aは自身の気まぐれな性格を自覚しており、今回の一件でBの(AとBの)計画や、Bの人生を突然翻弄してしまうことを申し訳なく思っています。
しかし同時に、独立する権利や新たに抱いた夢を追う権利を主張しているのです。
この点に関してはBもAを止める権利がないことは理解しています。
ですがBは、Aが独立することが事業の準備段階から決まっていれば、現在とは違う形での経営になっていたかもしれないと思っています。
あくまで共同経営を前提にこの先数年間(少なくとも5年間)経営していくつもりでいたからです。
ひいては、起業せず就職していたかもしれないとさえ思っています。
(Bは4年制大学に通っており、卒業から半年後に現在の店舗を開業しました。Aとともに起業することを大学3年時に決めていたため、就職活動をせず、起業に向けての準備をしていました。)
以上のことから、今さら独立したいと言われたところで資産の分配に関しては譲歩できない
というのがBの主張です。
Bにとって、予期せぬタイミングで良きパートナーと大金を同時に失う損失は甚大です。
Bの主張と開業に至る背景はAも理解しています。
しかし、Aは自分にも資産を受け取る権利があると考えています。
以上が二人の関係性についてです。
分からない点や読みづらい箇所、不足している判断材料などがある場合はご連絡いただければ、答えさせていただきます。
長くなりましたが、以上を踏まえてのご回答をよろしくお願いいたします。
ID:7077 投稿日:2016/10/15 00:08:02 投稿:inglefood
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