弁護士法人 リーガルスピリットのコラム
投稿:小原恒之
財産分与のことなど
ここ最近の一関事務所での業務ですが、相変わらず離婚事件が多いですね。
ここのところ、新規のご相談はそれほど多くはありませんが、すでにご依頼いただいている案件が、調停、訴訟ともに多数あります。
先週から今週にかけて、これらの離婚案件について、書類を作成するのに多くの時間をかけていました(主にデスクワークなので、自宅で娘と一緒に過ごしながら作業ができるというメリットがあります)。
ただ、財産分与が争点になってくると、時に電卓をたたきながら数字とにらめっこということになり、少々しんどいデスクワークになってきます。
財産分与というのは、夫婦の共有財産を、離婚するにあたって半分に分けることです。
預貯金や不動産、退職金といったプラスの財産だけでなく、住宅ローンその他の借金といったマイナスの財産も分与の対象となります。
共有財産というのは、結婚後に築かれた財産ということです。
夫名義、妻名義を問わず、結婚後にできた財産は、共有財産として分与の対象となります。
これに対し、夫または妻が結婚前から持っていた財産は、各自の特有財産であって、共有財産ではありませんので、分与の対象とはなりません。
財産分与を決めるにあたっては、まず、何が共有財産で、何が特有財産なのか、を明確に区別し、共有財産の範囲を決定しなければなりません。
さらに、財産分与を行うには、いつの時点を基準とするかという問題もあります。
たとえば、1年前を基準とするのか、今現在を基準とするのかで、預貯金や退職金の額が変わってきます。
分けてあげる側からすれば、少しでも財産の額が小さくなるようにしたいと考えるのが人情かもしれませんが、基準時を当事者が勝手に選ぶことはできません。
多くの場合、離婚に伴う財産分与というものは、共有財産の清算という性質を持ちますので、共有関係が実質的に解消したと見られる時点、すなわち別居の時点を財産分与の基準時とします。
別居後に調停、裁判となっているケースが多いため、実際には、数か月前、場合によっては数年前の時点にさかのぼって財産分与を行うことになります。
こういう細々とした事柄を、電卓をたたきながら詰めていくのは結構しんどいのです。
弁護士業務には、結構こういった細かい数字の処理作業が付いてまわります。
2012/04/13
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