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つまこい法律事務所

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TEL
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土曜日・日曜日・祝日(土曜・祝日相談可)
公式HP
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つまこい法律事務所のコラム

投稿:佐久間大輔

職場におけるいじめ対策

 日本が資本主義社会に到達してから長時間労働が解消されたときはないと言っても過言ではありません。しかし、それでも21世紀に至るまでは、年間の自殺者が3万人を超えたり(警察庁調べ)、精神障害等の労災請求件数が千件を超えたり(厚生労働省調べ)するといった事態には至りませんでした。

 著名な電通過労自殺事件の最高裁判決(2000年3月24日)では長時間労働がクローズアップされましたが、実は上司のいじめが絡んでいました。いじめの問題は、近年先進諸国で「流行病的レベル」で急増していると言われており、日本も例外ではありません。それを象徴するかのように、職場のいじめが原因となった自殺を労災認定する司法判断が相次いでいます。

 この今日的な職場の問題は、長時間労働もさることながら、「努力-報酬不均衡」と「職場の人間関係の悪化」が原因であるように思われます。不況によるリストラや成果主義賃金制度の導入などによって周囲のサポート態勢がなくなり、裁量労働制や賃金不払い残業などにより自己の働きに見合った収入を得られていないという現状が見受けられます。組織的でありながらも、個人の合理性や効率性が要求されるアメリカ文明の商業社会のグローバル化が、集団で労働集約型の水田耕作を営み、勤勉が美徳された「農本社会」に生きてきた日本人にとって、必然的に大きな精神的ストレスを生み出しているのでしょう。

 各種調査では、在職精神障害者が急増しているというのが実態であり、心の病で1か月以上休む労働者の比率は0.5%前後、約47万人に上り、賃金ベースの損失は年約1兆円と推定する調査報告があります。アメリカ企業は、この「損失」を解消すべく、心の健康保持に力を入れています。日本の企業も、心の健康に対する費用を増加し、「損失」を削減しなければならないのです。

 職場のいじめに特効薬があるわけではありません。成果主義賃金制度の見直しなど労働条件の改善はもちろんですが、まずは集団での情報の共有が必要です。

 労働安全衛生法上、衛生管理者は、毎週1回作業場等を巡視し、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。また、衛生委員会の調査審議事項として、労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立があります。これらの規定から、衛生管理者が職場巡視をして、いじめの実態を把握し、衛生委員会においてこの情報を開示することにより、職場全体で情報を共有することが促されます。そして、衛生委員会が、いじめ対策を年間または月間の重点課題として樹立し、また、衛生管理者が中心となって、いじめによる心の健康の悪化を防止するための必要な措置を講じることが重要です。衛生委員会のメンバーでもある産業医との連携も必要です。

 しかし、対策を樹立しても、これを運用する側が心の健康に関する知識を有しなければ、制度は機能不全に陥ります。経営者や管理職がまず意識を向上させ、そして部下を教育していくことが肝要でしょう。

2016/11/30

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