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つまこい法律事務所

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TEL
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土曜日・日曜日・祝日(土曜・祝日相談可)
公式HP
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つまこい法律事務所のコラム

投稿:佐久間大輔

労働者の自殺予防

1998年以降13年連続で自殺者が3万人を超え、この間、失業率が悪化すると自殺率が悪化するということを繰り返してきました。リストラ・解雇による人員削減により、労働者の心の病いはますます悪化することが予想されます。

東京女子医大の調査によると、実際に解雇された者の心の健康度が悪化するとともに、「明日はわが身」とリストラによる解雇を心配する労働者の心の健康度も同程度に悪化しており、不安や不眠、抑うつ感などのために専門家によるケアが必要なレベルになっています。また、各種調査では、従業員の心の病いが増加する傾向にあり、その原因は、仕事の問題、職場の人間関係が上位を占めています。

このような状況の中で、厚生労働省は、近年、事業場におけるメンタルヘルスケアの指針を策定したり、衛生委員会の調査審議事項にメンタルヘルスケアを入れるなどして自殺防止対策を講じています。不況で職場のストレスが増える中、ストレスで休職後、同じ職場に復帰したため休職を繰り返し、そのまま退職を余儀なくされるケースが多くなっています。休職者を職場に復帰させるノウハウが企業側に乏しいのが現状です。企業は、精神疾患に罹患した社員を差別することなく、早期に身分を保障して休業療養をさせ、職場復帰させる態勢をつくることが急務です。これは、予防医学の分類でいえば、二次、三次予防です。

やはり、より根本的には、長時間労働や過密労働という過労自殺の原因を除去する一次予防が必要です。業務による疲労や心理的負荷を蓄積しないために、労働者は、何よりもまず疲れたら病気になる前に休む、リフレッシュするために年次有給休暇を連続取得することが必要です。

しかし、厚生労働省の調査によると、企業の正社員が取得した年休の取得率は低迷しています。これは、人員削減により少人数で仕事をこなさざるを得ないこと、リストラの対象にならないよう休まず働いていることが背景にあると思われます。

労働基準法上の大原則は、1日8時間、1週40時間を超えて働かせることはできないとされており、この例外はいわゆる三六協定による残業と休日出勤しかありません。三六協定で定める延長時間には厚生労働省の告示によって上限が画されており(月45時間かつ年360時間)、現行法では、労働者が年2440時間(=40時間×52週+360時間)を超えて働く義務を負っていません。逆にこれを超えて働けという使用者の業務命令は労働基準法違反であって、立派な犯罪であり、何らの効力もなく、労働者は自由に拒絶することができます。

このように労働者が労働時間に関する権利を理解し、これを適切に行使することが過労自殺予防の第一歩です。

そして、電通過労自殺事件の最高裁判決は、企業に対し、労働者が健康を害しないよう業務量を適切に調整するための措置を講じる義務を認めました。企業は、この義務を履行するため、安易なリストラ・人員削減をやめ、法定の労働時間の上限を遵守するのはもとより、人員増、仕事・期限の延長、担当業務の変更、代休や特別休暇の付与をするなどを措置を講じるとともに、労働者の休む権利の行使を拒絶せず、過重労働を防止していくことが急務というべきです。

2015/06/09

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