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弁護士法人 高橋智法律事務所

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弁護士法人 高橋智法律事務所のコラム

投稿:高橋智

有責配偶者からの離婚請求が認めれる場合とは

 最高裁が婚姻破綻はしているが、信義則上離婚が認められないとされるケースの3つの要件を示しています。それは、「夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び」、「その間に未成熟の子が存在しない場合」には、「相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない」ことです。この要件が満たされれば、「当該請求は有責配偶者からの請求であるとの一時をもって許されないとすることはできないものと解するのが相当である。」とされるのです。

 最後の要件が裁判所の考えを端的に表しています。すなわち、別居期間がまだ短く、未成熟の子どもが存在する場合には、配偶者が苛酷な状況に置かれると考えているということではないでしょうか。スウェーデンのように社会保障が完備している国、あるいは少子化が進んで子どものいる母親が極めて手厚く保護される未来社会においては、女性にとって苛酷な状態が生じるとは言えないでしょう。

 また、この要件を見れば、最高裁は女性が子どもを育てる、男性が不倫をするという前提に立っているように思いますが、女性が家を出て男性が子育てをしている場合だってあるはずです。しかし最高裁はそういう社会を想定しないということになります。

 最高裁は「相手方配偶者が離婚により被る経済的不利益は、本来、離婚と同時又は離婚後において請求することが認められている財産分与又は慰謝料により解決されるべきものである」とも述べていますが、結局ところ、婚姻関係は破綻している場合、主婦や子どもを守るという経済的理由で離婚を認めないということになっているわけです。夫婦には同居義務も相互協力義務もありますが、この場面で想定されているのは、もはや夫婦とは言えないのに、形式上夫婦であるというカップルを裁判所が容認しているわけです。

 私は、婚姻が破綻し、回復が望めないことが明らかであれば、養育費や慰謝料の金額を多額に認めるなどして、子どもや母親を手厚く保護しつつ、このような形骸化した夫婦関係については離婚を認めるべきであると思いますが、この場合の経済的負担は十二分になされる必要があると思います。

2012/03/19

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